こんにちは、トレーナーの井畑です。
20年の夏は例年にも増して暑い日が続いていますね。皆さん早朝や日が陰ってからなど少しでも涼しい環境で走っておられるのではないかと思います。
今回は熱中症予防に大事な水分補給に関する情報をお届けします。
運動中の発汗は1時間に2リットルにも及ぶことがありますので、基本的なことを守って自分の身を守りましょう。
体重の2%以上の脱水が起こると有意に持久力が低下することが分かっています。体温が上昇し始めるとともに、脱水が1%進むごとに循環血液量や静脈還流量の減少を補うために心拍数が5~10拍/分ずつ上昇するので心臓への負担が大きくなります。
ランニング前後に体重計に乗る習慣をつけて適切な水分補給が行えているか確認するところから始めましょう。
日本スポーツ協会の「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」では「のどの渇き」に応じた自由な飲水が勧められています。自由飲水では少量の体重減少が生じる傾向にありますが2%以内であれば十分許容範囲と言えます。「のどの渇き」を感じたらすぐに給水できるようランニング中はボトルポーチを利用したり、短めの周回コースですぐに給水できるポイントに立ち寄れるようにしたりと工夫をしましょう。
また一度に胃から腸に移動できる水分量は200ml程度とされていますので、一度にがぶ飲みしないで「のどの渇き」を感じるごとにこまめに飲むようにしてください。
高齢者においては「のどの渇き」を感じにくいことが指摘されており、この限りではありませんので注意してください。
給水の中身によっては余計に脱水状態になることもあるので注意が必要です。ランニングのような持久性の運動では水だけを飲み続けてしまうと血液の浸透圧が下がってしまい水分を体外に排出しようと尿量が増したり、のどの渇きを止めてしまったりする自発的脱水という状態になってしまいます。
勧められる飲み物は多くのスポーツドリンクのように塩分が0.1~0.2%で、4~8%の糖質を含む物になります。このような組成ですと塩分が血液の浸透圧を維持しつつ、糖質摂取によるインスリン分泌を介して腎臓でのナトリウムイオンの取り込みが増え尿排泄を抑えることができます。自分でスポーツドリンクの粉を使って飲み物を作る際は薄め過ぎて塩分、糖質の濃度が低くなり過ぎないように注意してください。
5~15℃の飲み物ですと吸収が早いとともに深部体温を下げる効果が期待できます。今はコンビニでも予め凍っているドリンクが売られていることも増えましたのでそれらを持って走り出すのもいいでしょうし、自分でボトルに飲み物を作る人は氷をしっかり入れてボトル表面に水滴が着くくらいに冷やしておきましょう。
以上、基本的なことではありますが改めて日々の飲み物を確認する機会にしていただけたらと思います。
ランニング後の体重減少分に関しては食事等とともに回復しますが、食事まで時間が長く空いてしまう場合やナイトランで水分補給だけして寝る場合はランニング後の水分補給も同様の飲み物が勧められます。また暑熱順化の過程でタンパク質を同時に補給すると血液量が増えることも分かっていますので暑さに慣れていない人はプロテインも併せて飲んでおきましょう。
運動・栄養・休養のバランスを保って夏を乗り切っていきましょう。